【イトウ】
日本最大の淡水魚であり、体長は1mを超え、日本三大怪魚の1つと言われている。
北海道の一部の河川・湖沼に生息し、この怪魚に魅せられたアングラーが北海道を訪れる。
【朱鞠内湖】
北海道北部の幌加内町にある人造湖。
イトウの保護活動が行われており、また、ワカサギなどのベイトも豊富に生息しているため、
多くのイトウが生息しているフィールドである。
また、景観の良さから、キャンプなどのアウトドアで訪れる人々も多い。
今回はこの朱鞠内湖にイトウを求めて遠征した。
【2019年10月19日】
朱鞠内湖の最寄りの空港は旭川空港だが、大阪の空港からは直行便がない。
関西空港から新千歳空港へ行き、空港でレンタカーを借りて朱鞠内湖に向かう。
千歳から北へ走ること3時間半。宿泊先のレークハウスしゅまりないに到着。
レークハウスしゅまりないに宿泊すればチェックアウトの際に遊漁料や渡船料を宿泊代とまとめて払うことができるのでオススメ。
あと、ご飯が非常に美味しい。
この日は移動だけで終了。自宅を出発してから約8時間移動に要した。
ここで、朱鞠内湖のイトウ釣りについて少しお話したいと思う。
朱鞠内湖で釣りをするには、まず遊漁券が必要となる。
キャンプ場近くの漁協の「つりけんくん」という券売機にて購入できる(¥1,100/日)。
また、タックルについてもレギュレーションが設定されている。
フックはシングルバーブレスフックを1竿につき2本まで。
カエシがついているシングルフックは、カエシを潰すか削るかしてバーブレスにして使用する。
釣り方はルアーかフライが一般的。
丘っぱりの他、ボートからの釣り(立ち入り禁止区域に注意)や、渡船を利用して島などのポイントに渡してもらって釣りをする。
遠征の場合は、渡船を利用するかガイドサービスを利用するのが良い。
イトウの釣りシーズンは、春または秋。
5月上旬に解氷となり、釣りができるようになる。
この解氷直後が1年で最もイトウに出会える確率が高い。
イトウは体力回復のために産卵で接岸したワカサギを積極的に捕食しており、
ルアーにもスレていないため、比較的どんなルアーにも反応を示す。
夏になるとワカサギが深場に沈み、それに着いてイトウも移動する。
ボートからジギングの様な釣り方で釣る人もいるらしい。
秋になると一部の個体は湖の奥地に移動する。
釣りで狙える個体数は減るが、ベイトであるワカサギが表層に移動するので11月中旬ごろまでは丘っぱりから狙うことができる。
また、秋のイトウは体力を回復して春には味わえないパワフルな引きを楽しめる。
ただし、基本的に回遊待ちの釣りであり、ターンオーバーの発生など、環境変化も大きいため、イトウに出会うには運も必要。
ルアーにもスレていて、ルアーを忠実にベイトに合わせる必要がある他、ラインの太さ, 色などにも気を使う必要がある。
【10月20日】
AM5:30 渡船にて出港。イタリア半島と呼ばれるポイントに降ろしていただいた。
朝一は表層狙いでシュガーミノーをキャストするも、反応は得られず。
日が昇ってからは地形を把握するためにスプーンでボトム付近を探る。
基本的には手前から5m先からブレイクになっており、スタンプ(木の切り株)が点々としているポイントである。
地形を探っていると、北岸に周りと地質が違い、周りよりも手前から急なブレイクとなっているポイントがあった。
ここには必ずイトウが回遊してくるはず。
しばらくこのポイントで張り込むことにした。
ルアーはシュガーミノースリム95F ワカサギゴースト
反応はすぐに出た。
60cmくらいのイトウがルアーにチェイス。
手前までチェイスしてきて食わせのアクションに入ろうとした瞬間、ルアーを岩に引っ掛けてしまった。
貴重なチャンスを無駄にした。
ショック…
それから昼まで反応はなかった。
昼が過ぎた頃、強い風が吹き始めた。
湖の釣りにおいて風の変化は最大のチャンスタイム。
無風状態から風が吹き始める瞬間や、吹いていた風が弱まる瞬間は魚の捕食スイッチが入るようで、バイトが多くなる傾向にある。
イタリア半島で最も風を正面から受ける場所に移動し、シュガーミノースリムをキャスト。
風によって起きた波でできた岸際の濁りの切れ目で、予想通りのバイト
ランディングしたのは
「アメマス」
朱鞠内湖にはルアー、フライフィッシングのターゲットとなる魚はイトウの他にサクラマス、そしてアメマスがいる。
大変美しい魚であり、イトウではないが嬉しい1匹であった。
その後も数匹のアメマスとウグイをキャッチした。
夕方になり、少し風が治まった。
残りの時間は午前中にチェイスのあったポイントで回遊待ちをすることにした。
16:00 足元にワカサギが増え、期待が高まる。
その時、3m先に赤い体をしたイトウが姿を現した。
すかさずシュガーミノースリムをキャスト。
チェイス
次こそは食わせよう・・・ と思った瞬間、
落ち葉を引っ掛けてしまうという失態。
この日はこれで終了となった。
秋特有のイトウの動き。
ルアーをよ~く観察してから捕食に移る。
いかに違和感を持たせずにバイトに持ち込むかが課題となった。
【10月21日】
AM5:30 出港し、渡船で浮島に渡していただいた。
島の南西のブレイクをメインに回遊待ちをし、たまに島の東側のシャロー帯の居着きを狙う。
朝一、湖面には霧が立ち込め、幻想的な光景を見せてくれた。
シュガーミノースリムの連続トゥイッチで島をランガンしていると、
何匹ものアメマスが遊んでくれた。
次第に霧が晴れ、現れたのは鏡のような湖面に紅葉した木々。
本当に美しい。
こんな美しいフィールドで竿を振ることができる幸せ。
何度も訪れたくなる理由がここにある。
しかし、この日はイトウの姿がない。
ベイトものんびりしている。
試行錯誤するもののイトウの気配が無いまま夕方を迎えてしまった。
秋のイトウは回遊待ち。回ってきたとしてもルアーを見切る。
何か変化が必要。
いかに違和感を与えずにイトウにアプローチできるか…
シュガーミノースリムのリップを切り、ウエイトシールでシンキングにチューンした。
ティープダイバーでしか狙えないレンジを、ディープダイバーでは出せないアクションで攻めてみる。
ブレイク、ストラクチャー、風の3つの要素が重なるポイントでタイミングを待つ。
風が一瞬弱まった。
ルアーがブレイクを抜けたところでロッドがズシっと重くなり、大きなヘッドシェイクが伝わってきた。
ロッドを曲げこみ、魚の動きを吸収。そしてランディング。
ようやく姿を見せてくれたイトウ
(写真を撮ろうと思ったら逃げてしまった…)
ポイント、タイミング、タックルバランス、ルアーアクション、
様々な要因をマッチさせないとなかなか手にすることのできない秋のイトウ。
やはり特別な存在である。
これで今回の遠征の釣りを終了した。
【10月22日】
紅葉を楽しみながら3時間半のドライブで新千歳空港へ。
5月にまた来ようと決め、大阪に戻った。
日本とは思えない景色の中で釣りができ、遠征でも比較的イトウに出会う確率の高いフィールド
「朱鞠内湖」
みなさんも一度訪れてみてはいかがだろうか。